旧 日々、菩薩の道
 
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「悪霊喰 The Sin Eater」3
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    今日はアレックスの相棒である、トーマスの話から始めよう。

    トーマスは最初の登場シーンから悪魔払いしていた。そこで、「闇の教皇が光臨する」との信号を得る。トーマスは既に何かを察知し動いていたわけである。そこにアレックスからの電話という信号を得るのだが、その電話は途中で切れる。トーマスが切ったのか?切れてしまったのか?興味深い。そして、いくら悪魔払いとはいえ、相手は車に突っ込み死んでしまうのだ。トーマスの行為は善なのか?悪なのか?簡単には評価できない。

    場面は変わって、アレックスとトーマス、マーラで話していたとき、罪喰いの方法について書かれた羊皮紙をみて、
    「同じものをみた覚えが」とトーマスはいう。その続きは、闇の権力者であるシラクのもとにあったわけだが、シラクとのつながりが既にあったのはトーマスで、闇の世界とアレックスは繋がっていなかった。トーマスの導きによって、展開が開けていく。しかも、闇の権力者に、アレックスを連れて会いに行った時、
    「借りを返せ」とトーマス。一体闇の権力者にある貸しとは何であろうか?かなり関係が深いことが伺える。

    にも関わらず、闇の権力者の正体をトーマスは知らなかったし、3人で話している時に、初めて枢機卿が訪れてきた際、枢機卿はトーマスと初対面のふりをした。徹底している。このことについて、以前「肩書きの限界」という記事を書いた。これを参照して欲しい。

    前回、我々もあえて伝えないことがあると書いた。このことと似ているのではないかと思う人もいるだろう。実際、天使のやり方も悪魔のやり方も、表面だけを見れば似ていることがある。違いは、何のためにそのやり方を使うか、だけだ。エゴの為か、相手の為か。自分がやりやすいようにか、相手にとって価値ある体験にするようにか。

    方法が似ているからこそ、堕天使に落ちやすいのだ。特別なやり方は実際力がある。ゆえに勘違いを起こし欺瞞になれば、気付かぬ内に、自分は正しいことをしていると堕ちてしまう。だから自己欺瞞は恐ろしい。

    トーマスは、闇の権力者であるシラクに会うためにアレックスを地下室へと案内する。「コンスタンティン」にも似たような場所がでてきたのを覚えているだろうか?そう、パパミッドナイトのクラブである。どちらも地下だ。そして、我々の世界でこうした場所はどこかといえば、西麻布Birthである。勿論ここも地下にある。最近起こった事件も西麻布。西麻布は、東京の中でも特異な場所にある。もう一つ符合する信号もあるのだが、今はまだ触れないでおこう。

    地下に入ったトーマスがまず探したのが、ロザリンダ、うつろめの女だ。彼女がまた面白い存在だ。男か女かわからないような風貌をして、謎な存在。しかし彼女を通さなければ、シラクには会えない。目利きである。霊を見ているからうつろにみえる。ただの案内人でもない。最後のほうで、シラクの椅子に座っているのがみえる。

    ちなみに、役を離れた彼女は実は絵描きだという。この映画に出てくる絵は全部彼女の作品で、マーラが手でひまわりを書いていたやり方も、彼女独自の描き方なのだ。
    シラクはトーマスの問いに対して、死にゆく者に聞けと首吊りを行う。トーマスは善悪を超えているから、動揺することなく、尋ねろとアレックスに促す。ここで殺されていたのは誰だろうか?


    殺されたのは、枢機卿(シラク)のライバルだ。彼が教皇になるために邪魔な存在を消すことで、次の教皇へと近づいたのだ。

     帰り際トーマスは罠で死にかけたが、その罠にハマったのは因縁が関係していたからだ。普通だったらハマらない罠に、自分の因縁の霊を使われることであり得ないことがおきた。因縁の相手には冷静になれなくなるのだ。冷静に考えたら、なぜあそこであんなことをしたのか?と自分でも理解できないのが因縁の恐ろしさだ。

    愛憎は表裏一体というように、因縁の関係は最大の味方にも最大の敵にもなる。向かい続けることでしか、その道は切り開かれない。簡単には逃げられないのだ。

    表裏一体と言えば、イーデンはアレックスに
    「恐怖と願望は表裏一体だ」と言った。

    ジョイントを受けるときに、怖いという人もいる。自分が変わるかもしれないのが怖いとか、何をするのがわからないのが怖いとか。でもイーデンがいうように、本当は自分が変わることを望んでいるし、実は何もかもわかるよりはわからないからこその意外性を求めているのだ。

    表面だけを見ずに、その相手の本当の望みをみなければ、本当の仕事は出来ない。望みだけでなくその背景の理解も欠かせない。なぜアレックスは本来なら距離が近いトーマスの言葉より、知り合ったばかりのイーデンの言葉に影響されてしまうのか?イーデンは幼いころからアレックスを見ているのに、なぜずっと本人はアレックスの前に登場せずにいたか?因縁の関係がわからなければ意味不明だ。イーデンは、因縁の法則を理解しているからこそ、何も考えずに行動することはないし、因縁付けもできるのだ。

    イーデンはとてつもない豪邸に住んでいる。自家用飛行機で、罪喰いの仕事をしに行くが、これはどこから依頼が来るのだろうか?罪喰いの存在は200年いないことになっている。普通に調べても絶対に辿りつけないし、ましてやSin Eaterがいるとは思いもよらない。

    資産家たちと接点があり、彼らが誰にも相談できないようなことを相談する相手は誰だろうか?答えは、ヴァチカンが紹介しているのだ。ここにも持ち場がある。ヴァチカンが利用しているのか、それとも利用されているのか?敵対しているのか?補完し合っているのか?

    イーデンは罪喰いの見返りに大金を得るが、イーデン自身は金に執着はない。興味はなくても、あえて取らないといけないのだ。罪を背負うことは、執着を背負うことでもある。キリストも、「金持ちが天国に入るのはラクダが針の穴を通るより難しい」と言った。

    Sin Eaterが行う、魂を解放する罪喰いとは一体何だろうか?本当に現実でそれが出来るのか?また出来るとしたらどうするのか?実は、これこそがジョイントである。我々がしていることは、Sin Earterがしていることを超えている。人間の魂を救う仕事なのだ。実際にジョイント中には、悪霊喰いすることもある。信じられないかもしれないが、現実は映画を超えるのだ。

    さてイーデンがガブリエルだとしたら、サタンは誰だろうか?枢機卿だろうか?いや違う。枢機卿はマモンだ。サタンは、映画の中では一度も出てこない教皇である。教皇の手のひらで事件は展開しているのだ。そして勿論アレックスは菩薩である。


    最後にイーデンが医者に対して語った言葉を転載しよう。どんなに知識を得ようとも、幸福や救いと直接的に繋がるわけではない。別に医者を攻めているわけではない。経営者や政治家に置き換えたっていい。この言葉をよく噛みしめたい。

    「君に何ができる?

    科学、薬剤、
    医者は薬の名だけで人を惑わすだけ
    がんはきまぐれだ 

    君らは体重計で命をはかり 
    命をうばう 
    人の命の神秘を奪う 

    分ったふりをして 
    実は何もわかっていない 

    ならば生きる価値はない」
    【2010.12.06 Monday 17:00】 author : oz
    | 映画 | comments(4) | trackbacks(0) | - | - |
    この記事に関するコメント
    生まれ変わってアレックスだとしても、違ったとしても、それを知ったところで意味がないのではないでしょうか。それこそ奈落でしょう。聖水に関してもそれと同じくかな。
    | 一輝さんへ | 2011/01/17 12:00 AM |
    「悪霊食」見させていただきました。
    アレックスはいろいろな方々とめぐりめぐって出会い「罪食い」になり、「許す物は許し、畜生は呪う」と分別する能力がついたのでスゴイと思います・・・  菩薩とはこういった人の事なのかなと私なりに考えさせられた映画でした。
    またおすすめの映画がありましたら見させていただきます。
    | chibana | 2010/12/16 9:10 AM |
    管理者の承認待ちコメントです。
    | - | 2010/12/09 3:55 PM |
    イーデンの兄 フィリップは、生まれ変わってアレックスになったのですか?
    聖水を 無知から 旅人に与え、破門になった。罪は、来世にも与えられた。自分が死に際、シーンエイターに助けられた、シーンエイターになること。
    そしてまた、マーラが瀕死のとき罪喰をして、シーンエイターになった。(エジプトで聖水を与えたことに似ています)
    聖水は、簡単に扱ってはいけないのですね。自己欺瞞では、ダメだということを改めて感じました。
    悪霊喰やコンスタンティンで出てくる聖水について、重要だと思い調べましたが、ストーリーに繋がるヒントはなかったです。

    助言いただきたいですm(_ _)mよろしくおねがい致します。
    | 一輝 | 2010/12/08 12:46 AM |
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